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ルポ児童相談所-一時保護所から考える子ども支援

2017年2冊目。

わたしがプロボノをしているLiving in Peaceの理事長、慎さんによる著作

ルポ児童相談所

今まであまりスポットライトが当たってこなかった児童相談所、特にその中の一時保護所について、課題・解決の方向性をこの本では語っている。

 

慎さんが一次保護所に関心を持ったキッカケは、社会的養護下にある子ども達から聞いた「一時保護所と児童相談所が一番イヤな場所だった」という話から。

一次保護所とは、「親の虐待、貧困、疾患や子ども自身の非行などが理由で、一時的に保護をする必要があるとみなされた子どもたち」が生活する場所のこと。

児童相談所とは、一時保護所の運営主体のこと。

 

子どもが社会的養護を受けるまでの流れは以下の通り。

 まず、親の貧困・虐待・疾病等の理由で、実家庭で暮らすことが最善でないと児童相談所によって判断された子どもたちは、親元を離れることとなります。その後、子どもたちの多くは児童相談所に併設されている一時保護所に平均して一カ月滞在することになります。その後、家庭に戻ることができないと判断された子どもは、里親・児童養護施設等(社会的養護)に措置されるか、特別養子縁組を受け、実親を離れて生活をしていくことになります。

 わたしたちLiving in Peaceが支援しているのは児童養護施設の子どもたち。社会的養護の全体像の中では、一番下流の分野だ。

対して、今回は一つ手前の児童相談所の話題である。

 

児童相談所間に子どもたちの待遇の格差があること、多くの児童相談所はパンク状態にあることが、問題として上がってる。

それが「一部の一時保護所では子供の自由権が著しく侵害」されたり、「学校に通えないため学業が確実に遅れ、学校についていけなる」など、子どもに直接不利益な問題にも結びついていく。

 

児童相談所の問題を解決する手段として、①第三者による外部監査、②地域の里親・施設による一時保護委託を進める、ことが提言されている。

①第三者による外部監査

外部監査により、児童養護施設間の比較を行うことで、きちんと運営されていない児童相談所をあぶり出す。

地域の里親・施設による一時保護委託を進める

児童相談所だけではリソース不足なので、地域の里親・施設を巻き込んで、地域を離れずに一時保護を受けられるようにする。

 

これまで、児童福祉施設という社会的養護の一段階しか見ていなかったので、今回の児童相談所の問題はとても勉強になった。

児童相談所はひどいところだという話は、Living in Peaceの活動中も度々聞いていた。

しかし、児童相談所がすべて悪いのではなく、構造的な問題点があることが本書を読んでわかった。

 

特に、本書でも書かれている「公的な子ども向け支出が少なすぎる」という課題は、児童福祉施設支援を行っている現在において、痛切に感じている。

もっと公的な子ども向け支出を増やして、児童相談所でも児童福祉施設でも、子どもによりよい支援がなされることを願っている。